和の器に活ける

お正月も終わり、今日は久しぶりにゆっくりと致しました。
庭を見渡すと、まだバラが咲いていますし、水仙もたくさん
花を付けています。庭から摘んで、活けて楽しみました。
d0099791_0482893.jpg

花器は、お茶道具の「水差し」です。(昭和初期の頃のもの
になります。)青白(ブルー&ホワイト)の陶磁器が好きで
和でも洋でも少しづつ集めております。
バラは、「羽衣」(Cl)(鈴木省三氏作出)です。
d0099791_0491570.jpg

先日「新年のご挨拶」で、古伊万里に活けさせて
頂いたアレンジも、ブランドローズ「和ばら」の
「葵~風雅~」(ローズファームケイジ作出)といった
日本で誕生したバラを合わせてみましたが、
やはり和の食器には、日本産まれのバラがしっくり似合う
ような気が致します。和名もいいですね。

こちらのバラはティーローズの「サフラノ」で、
花器は、有田焼の青磁です。
d0099791_051417.jpg

ティーローズは、中国産まれのバラの系統ですが、
細い花首や軽やかな花型等、東洋の女性ごとく
優しく控えめな雰囲気のするバラが多いですので
和の器にも合うように思います。
元々、磁器は中国から日本へ伝わったものですから
合うのも当然といえば当然なのかもしれません。

有田焼といえば、今年2016年は、有田焼創業400周年の
記念の年だそうですね。

中国産の磁器が貿易品として日本へ入ってきたのは、
9世紀頃でした。そして、中国南宋時代の12世紀頃から、
青磁や白磁、黒釉陶器の茶碗や皿や酒瓶などが、日本へ
大量に入ってきました。江戸時代の初期、日本ではやっと
肥前窯(現在の佐賀県西部および長崎県東部地域)が、
磁器の技術を獲得し、豊臣秀吉が朝鮮出兵した際には、
朝鮮半島から多くの陶工を渡来させ、肥前の有田周辺で
磁器焼成に成功したのは、1610年代頃とされています。
しかし、当時の日本人が求めた磁器は、朝鮮風の白磁
ではなく、それまでに目にしてきた中国・景徳鎮窯産の
青花(せいか)磁器にあり、草創期の肥前窯の染付磁器
(初期伊万里)は、中国風のスタイルをモデルに造られました。
その後、一部和風の意匠をもつ茶道具も造られるように
なっていきました。
誕生したての初期伊万里は、すでにブランド化していた上質
な景徳鎮磁器と競合するには至らなかったのですが、
中国の明朝から王朝交代に伴う内乱で、中国磁器の
日本への輸出が、1640年代後半に、激減する事態が生じた際に、
肥前窯はそのチャンスを生かし、景徳鎮磁器の代役たるべく
技術革新に努め、一気に国内の需要拡大を成功させたの
でした。
1650年~1660年代頃には、景徳鎮磁器を模倣する
段階から飛躍し、和様の優雅なデザインの器が主流を
占めるようになっていたそうです。和様とは、赤絵具を
主体にした色絵製品、京都の王朝趣味を感じさせる金彩と
緑彩を主体とした色絵製品、「藍九谷」とよばれる文様の
輪郭を骨抜きする絵画的な意匠、藍杉の濃淡を生かした
配色等です。
中国の明代後記(1523~1566年)に、景徳鎮窯で
完成された朱色と金を多用し、艶やかな金襴手の
製品が、日本へは17世紀後半頃に伝承され、とても
人気となったそうです。色絵の上から金彩を施した
豪華絢爛、精巧に描き込まれた絵柄は日本で発達し、
この様式は「金襴手様式」と呼ばれるようになりました。
この様式は、後に「オールドノリタケ」等でも採用されて
いるのが見て取れるかと思います。

また、伊万里焼の文献、1638年の「毛吹草」(松江重頼)に、
「唐津今利の焼物」とあり、唐津は土もの(陶器)、
今利(伊万里)は石もの(磁器)を指すと考えられています。
有田、波佐見などの肥前の磁器は、主な積み出し港の名から
「伊万里焼」と呼ばれ、有田地区の製品を「有田焼」、伊万里地区の
製品を「伊万里焼」と呼び分けるようになったのは、船に変わって
鉄道が輸送の主力となってからのことだそうです。
研究者はいわゆる「伊万里焼」を「肥前磁器」と呼ぶことも多い
とのことです。
{「静嘉堂蔵・古伊万里」静嘉堂文庫美術館、
「ベストセレクション古伊万里・小皿・豆皿・小鉢」中島由美編集
(講談社)参照。}

こちらは、我が家の「オールドノリタケ」の金彩を施した花器と
「和ばら」の切り花品種「ひな」(ローズファームケイジ作出)
d0099791_2121355.jpg


同じ花器に「和ばら」のF&Gローズの「こはる」、「あかり」、
「しずく」、「ひより」(ローズファームケイジ作出)を活けて。
d0099791_163025.jpg


今年は有田焼をはじめ、日本の和の食器が
今まで以上に注目を浴びることとなるでしょう。
お花の世界でも、きっと和の花器に、バラやお花を活ける等、
新たなアレンジの楽しみが広がることと思います。
それに伴い、和の装いや和の習慣等が更に見直され、
自国の文化を見直す良い機会ともなるでしょう。

今年のお正月の生花は、鉄瓶に活けました。
d0099791_1191925.jpg


こちらは、「スポード」(現在、英国ポートメリオン社の
傘下にある)の「ブルーイタリアン」(手前)です。
ヨーロッパに渡った「有田焼」の影響を何かしら
受けていそうですね。
d0099791_343899.jpg

私は、和も洋もどちらも大好きですので、
バラやお花をよく見て、雰囲気に合ったコーディネートを
これからも心がけていきたいと思っております。


実は、私事ですが、有田焼をはじめ、初期伊万里や
日本に伝わった頃の朝鮮の磁器等を有する日本民芸館
にて、日本民芸館が発行する冊子「民藝」の
2016年1月号に、以前書かせて頂いた文章が
光栄なことにご掲載頂きました。
d0099791_2145744.jpg

バラに関することではなく、「鏝絵」(こてえ)に
関することで、かつて代々左官業を営んでいた
主人の祖先たちが、絵師を招き、氏神様を祭る
地元の神社の拝殿に寄進した「鏝絵」について
書かせて頂いたものです。
もし機会がございましたら、ご覧下さいませ。
「鏝絵」といえば、ちょうどこの1月から放映される
NHK大河ドラマ「真田丸」のオープニングに写る
文字が左官職人・挟土秀平さんによる鏝で書かれた
ものだそうですね。
詳細はこちらをご覧下さい。

また、昨年春に「庭のホテル東京」にて開催させて頂きました
イベント「育てて活かす和ばらの世界」でも、和の食器と
和ばらのコラボをさせて頂きました。よろしければご覧下さい。
http://roseherb.exblog.jp/21585435/

長文、ご覧頂き、ありがとうございました。



メールアドレス  salonderoses2@excite.co.jp
[PR]
by salonderoses2 | 2016-01-07 03:57 | バラ&ハーブ