アンリ・ファンタン=ラトゥールの三作品

終了してしまいましたが、先日「オルセー美術館展」(国立新美術館)へ
行ってきました。
この展覧会の目玉は、エドュアール・マネ(1832~1883)の「笛を吹く少年」
(1866年)や、ジャン・フランソワ・ミレー(1814~1875)の「晩鐘」(1857~
9年)、クロード・モネ(1840~1926)の「草上の昼食」(1865~6年)、
エドガー・ドガ(1834~1917)の「バレエの舞台稽古」(1874年)、
アレクサンドル・カパネル(1823~1889)の「ヴィーナスの誕生」(1863年)
そして、個人的に大好きなアンリ・ファンタン=ラトゥール(1836~1904)の
2作品他があげられるかと思います。
アンリ・ファンタン=ラトゥールの絵画について、少し記させて頂きます。

アンリ・ファンタン=ラトゥールの「花瓶のキク」(1873年)
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ルーヴル美術館へ、巨匠たちの絵を模写しに通っていたというアンリは、
そこで知り合い結婚した妻と、自宅の畑で花を育て、妻が活けた花をよく描いたと
云われています。
彼の絵からは、安定した幸せな心境と、植物へのリスペクトから発しられる
植物への美の探求心が感じられます。それは、細い筆で一枚一枚の花弁を
丁寧に描き込んだこの「花瓶のキク」からも伝わってきました。
そして、照明の力も加わって、まるで輝くような色合いの強弱は、
現代の3D画像にも匹敵するほど立体的に見え、ずっといつまでも、
この絵の前に立っていたいと思えるほど、感動してしまいました。
しかし、それとは対照的に、花瓶や机、背景の壁は、淡くどことなく抽象的で、
花の部分とは、まったく描き方が異なります。
これは、もしかしたら、彼が意図的にそうして描くことで、花の生命、つまり有機的な
部分と無機的な部分を、心の中で区別して描いていたのではないかと思えました。

アンリ・ファンタン=ラトゥールの「テーブルの片隅」(1872年)
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植物の絵は、アンリが一番と思っております私ですが、今回、こちらの絵を
観ることが出来、人物画も素晴らしい、と心底思えることが出来ました。
描かれた人物の中で、特に感動したのが、前列の左から2番目に、肘をついている
若い青年です。中原中也にも影響を与えた破滅的な詩を残し、自信も破滅的な
人生を送った詩人、アルチュール・ランボーです。そして、その横(左)には、
ランボーと暮らした、やはり破滅的な詩人、ポール・ヴェルレーヌも描かれて
います。画家がエレガントな性格だったからでしょうか、描かれている人物たちも
男性ばかりなのに、とてもエレガントさを感じます。
そして、片隅に描かれた植物は、やはりほんの少しでも美しいと感じました。

こちらは、以前(2013年)に開催された「奇跡のクラークコレクション」(三菱
1号館美術館)で、観ることが出来たアンリ・ファンタン=ラトゥールの
「鉢と皿に生けたバラ」(1885年)。
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バラに彼の名が付くほど、彼の描くバラは、本当に美しい・・と思えた作品です。
ぜひ、近い将来、アンリの作品を集めた展覧会が開催されることを強く望んで
おります。

参考文献:「オルセー美術館展 印象派の誕生 描くことの自由
カタログ(国立新美術館、読売新聞東京本社事業局文化事業部編集)
(」読売新聞東京本社発行)

メールアドレス  salonderoses2@excite.co.jp
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by salonderoses2 | 2014-12-21 17:16 | 美術鑑賞